若手研究B「金融政策が経済成長に与える影響に関する定性・定量分析」

研究期間:2014年4月〜2018年3月(予定)

研究代表者:古川雄一(中京大学)

2016年以降の推進方策: 

 所期の研究目的は一通り達成されているので、残された課題は、研究成果を国際的に定評ある査読付き英文雑誌に公刊することと、より進んだ、発展した研究テーマにつなげるための、基礎モデルの開発と分析(定性・定量)にある。引き続き、共同研究者たち(e.g., Angus Chu 教授(リバプール大学)、 Guido Cozzi 教授(ザンクトガレン大学))との緊密な研究協力を維持しつつ、学会報告やセミナー報告を通じて、内外の研究者たちとの新たな研究交流を行う。

研究成果(2015年):

○グローバルな研究コラボレーション

 研究プロジェクトは、所期の通り、国際研究協力に基づく共同研究として進行している。具体的には、Angus Chu 教授(Liverpool 大学)、Guido Cozzi 教授(University of St. Gallen)、Lei Ji 助教授(OFCE-SciencesPo/SKEMA Business School)、Dongming Zhu 准教授 (Shanghai University of Finance and Economics) との共同研究を行ってきた。

○研究の概要

 金融政策が経済成長に与える影響について、昨年度までに行った定性・定量分析をもとに、研究活動を発展させた。具体的には、ディスカッション・ペーパー (Chu, Cozzi, and Furukawa 2015) にまとめた成果をセミナー報告で周知するとともに、国際的に定評あるジャーナルに投稿した。加えて、経済成長モデルの文脈において、「金融政策が、重要なマクロ・ミクロ経済要因に対してどのような役割を果たすか」を明らかにするために、分析のベースとなる理論モデルを構築した。対象とする要因は、たとえば、労働組合、賃金格差、技術リーダーシップ、教育投資、特許、オフショアリング、文化的な選好 等が含まれる。いくつかの研究成果は、公刊されたか (e.g., Chu, Cozzi, and Furukawa 2015a, Furukawa 2015)、ディスカッション・ペーパーとして公表されている (e.g., Chu, Cozzi, and Furukawa 2015b)。

 研究成果の詳細については、ここを参照せよ。

 

 参考文献

  • Chu, Angus C., Guido Cozzi, and Yuichi Furukawa, 2015a. Effects of Economic Development in China on Skill-Biased Technical Change in the US, Review of Economic Dynamics 18, 227–242.
  • Chu, Angus C., Guido Cozzi, and Yuichi Furukawa, 2015b. Inflation, Unemployment and Economic Growth in a Schumpeterian Economy, MPRA Paper 61175.
  • Chu, Angus C., Yuichi Furukawa, and Dongming Zhu, 2016. Cultural Preference for Education,  MPRA Paper 68821. 
  • Furukawa, Yuichi, 2015. Leapfrogging Cycles in International Competition, Economic Theory 59, 401–433. 

研究成果(2014年): 

 金融政策が経済成長に与える影響について、定性・定量の両面から分析を進めた。特に、金融政策によってインフレーションが引き起

こされた時、失業率や経済成長率がどのように変化しうるのかについて、詳細な分析を試みた。本研究の重要性は、定性的には、金融

政策や失業と経済成長の関係という伝統的な研究テーマに対して、新しい視点(研究開発投資の cash-in-advance 制約)から理論モ

デルを開発したことにある。また、適切な手法でモデル・カリブレーションを行い定量分析を行った点も新しく、重要な貢献であると

考える。詳細は次の通り。

 

(定性)金融政策やインフレーションが長期的な失業率と経済成長率に与える影響を分析するために、いわゆる cash-in-advance (CI

A) 制約と労働市場のマッチングを考慮した理論モデルを開発した。開発された理論モデルを利用して、インフレーションと失業の長

期的関係が cash-in-advance 制約の性質に大きく依存する可能性が示された。消費の CIA 制約の下では、金融政策によるインフレー

ションは失業を減らし、研究開発投資の際の CIA 制約の下では、インフレーションは失業を増加させる。

(定量)このモデルをアメリカとEUのデータをつかってカリブレートして、インフレーションと失業の関係に関する定量的な結果を示

した。

 

 なお、本研究は Angus Chu 教授(リバプール大学、イギリス)と Guido Cozzi 教授(ザンクトガレン大学、スイス)との共同研究で、ディスカッション・ペーパー(MPRA Paper 61175)としてまとめられている。

What's new?

2017年8月21日~25日: 労働組合と社会厚生に関する共同研究が、ヨーロッパ経済学会の年次大会 (2017 EEA/ESEM at リスボン)で発表されます。(共著者による報告)

----古川も共同研究打ち合わせがてら、学会に参加します。